"rouge"は「口紅」の意であり、キュートでセクシーな女性を象徴。
"non"を付けることで、「素顔の」「本音の」という気持ちを込めました。

12月7日、8日、オペラ歌手の千田三千世さんは札幌市教育文化会館小ホールで 行われた、「さっぽろオペラ祭 札幌オペラスタジオ(SOS)公演」《秘密の結婚》の舞台に立った。札幌市では11月からの約1か月を「芸術文化活動月間」と位置づけ、「さっぽろ アートステージ」と題した大規模なイベントを3年前から開催している。音楽、学生音楽、舞台芸術、美術、アートプロモーションの5つの部門の中から次々と作品 が上演され、期間中の札幌はこれらの芸術作品で彩られる。その期間に合わせ11月9日から12月9日まで、市内のオペラ団体で「さっぽろオペラ祭」が開催され、2007年は3つの作品が上演された。そのひとつが《秘密の結婚》だった。  札幌オペラスタジオは1994年に発足したオペラの研修団体であり、メンバー にはオペラを学ぶ研修生のほか、日本のオペラ界を代表する演出家、指揮者、作曲家、歌手などが会員として名前を連ねている。理想とするオペラ作品を作り上げる べく、地道な活動を続けている。千田さんはその旗揚げメンバーのひとりでもある。オペラとは、そもそも日本の文化に馴染みが薄いものかもしれない。演劇と音楽 の要素がからみ合い、構成された舞台芸術であり、ルネッサンス後期のイタリアはフィレンツェで成立されたとされている。そんな海外の芸術と千田さんとの出合い は、さほど劇的なものではなかった。オペラの世界に足を踏み入れた理由は定かではない。千田さんの言葉を借りれば、「なんとなく。どうしてオペラだったのかわ からない」という。声楽の道を極めようとする中、自然の流れでオペラに魅せられていたのだ。

千田さんが声楽家を志したきっかけは、中学生だった当時、習っていたピアノ教 師からの助言だった。将来、進む道を問われ、自然と千田さんの口から出た言葉は 「音楽教師」だった。その時、ピアノ教師から歌の道を極めることを薦められたの だ。  幼少期、オルガン教室で音楽を始めたものの、実は千田さんには遊びたい盛りの 時期に一度、音楽から遠ざかったことがあった。再びピアノを始めることで音楽に 戻ってきたといっても、離れていた時間を取り戻すのは容易ではない。ならばピア ノとは違う歌の世界で音楽を極めるのもいいかもしれないということで、照準を声 楽家に定めたのだった。  大学は札幌大谷短期大学音楽科に進学。卒業後も専攻科で2年、声楽を学んだ。 「学生時代は、学校のカリキュラムに沿ってピアノのレッスン、声楽の授業で一通 りの基礎をただ学んできた感じです。周りは目的意識の高い学生がいっぱいました し、どちらかといえば、私は落ちこぼれの生徒だったように思います」  そんな千田さんの運命の大きく変えたのが、オペラ団体として精力的な活動を続 ける「北海道二期会」への入会だった。ここで、歌いながら演じるという、オペラ ならではの楽しさを知ったのだ。

オペラの世界に身を投じてから、20年に差し掛かろうとしているが、未だにオペ ラへの探究心が尽きることはない。6年前にはミラノに渡り、半年間、滞在。語学 学校に通うほか、現地の先生に個人レッスンを仰ぎ、夜は演奏会三昧。イタリア・ オペラを肌で感じた。そんな探究心のバックボーンとなっているのが、札幌オペラ スタジオの活動である。研修団体というだけあって活動のスタンスは明確だ。積極 的に日本のオペラ界で活躍中の演出家や指揮者、コレペティトールを講師として札 幌に招聘。毎年、作品を作り上げて、公演を行っている。  活動の最中で時々、立ち止まることもある。オペラはただ歌えばいいというもの ではない。作品にはそれぞれにストーリーがあって、演者として音符で綴られた譜 面の中から何を読み取るかが大切であり、この解釈という作業がもっとも難しいの だという。 「演出家として日本のオペラ界で広く活躍されている松本重孝氏にもご参加いただ いています。松本さんには、公演のたびに教えられることばかりですが、いつもき まって指摘されるのは譜面を読むことです。読み込みが浅かったんでしょうね。今 回の公演《秘密の公演》が開演する4、5日前には『誰とも口を聞くな。そんな暇 があったら楽譜を見ろ!』って言われました。2年前は『ご飯を食べる暇があった ら、譜面を読め!』って言われましたね」  自分に特別な才能があると感じていたわけではなかった。ただ、本格的にオペラ に出合い、進むべき道を見つけた時から千田さんの声楽家としての人生は始まった 。そして、2008年、彼女は声楽家として新しい舞台に挑戦しようとしている。  2008年2月17日に岩見沢文化センターで行われるイベントで学生たちといっ しょにコンサートを実施。そして、7月25日には、ソプラノ歌手としてソロの舞台 に臨む。

千田 三千世さん

「北海道二期会」、「札幌オペラスタジオ」の2つにオペラ団体に所属するオペラ 歌手(ソプラノ)として。志しをメンバーとともに理想とするオペラ作品を創造す べく、日々、研鑽を重ねている。2008年7月にはソプラノ歌手としてソロのコンサー トに挑戦する。