"rouge"は「口紅」の意であり、キュートでセクシーな女性を象徴。
"non"を付けることで、「素顔の」「本音の」という気持ちを込めました。

北海道新聞日曜版「日曜navi」の〈FOOD〉のコーナーに「小世里と亜古のほっぺおちの旅」という連載がある。  北海道は日本でも屈指の「食料基地」として知られており、道内の各地で良質な食材が日々、作り出されている。サブタイトルに「おいしいワケを訪ねて」と銘打たれたこの連載は、そういった名産品のふるさとに足を運び、おいしさの秘密を探るという類いのものだが、面白いのは産地を歩きながら、生産者の話を聞き、食べ、語らうという一連の取材活動を通して、食材の魅力がリアルな〈言葉〉と〈イラスト〉で綴られていることだ。連載を手掛けるライターの柳亜古さん、イラストレーターの佐々木小世里さんの好奇心が紙面いっぱいにあふれ、産地レポートというよりも、むしろ、彼女たちの「旅日記」というニュアンスに近いかもしれない。現場で体験したささやかな発見と幸福が、紙面から伝わってくるのだ。  佐々木さんは、この仕事に携わることで、イラストレーターとして自らが立つべき場所に気付いたという。感性が解き放たれたとでもいうのだろうか。イラストを描くという行為を心の底から楽み、筆を走らせている。 「取材は地方が大半なので、たいがいが泊まりがけになります。現地に行って、生産者から話をじっくりと聞かせていただいて、おいしいものを食べる。締め切りはたいへんですけど、現地の人たちとの出会いは新鮮で、楽しくて仕方ありません。いろんなアイデアも浮かんでくるし、この仕事に携わるようになって、本当のイラストレーターになれたような気がします」

現在、佐々木さんのイラストレーターとしての活躍のフィールドは広い。「小世里と亜古のほっぺおちの旅」の連載のほか、北海道新聞「オントナ」、タウン誌、広告などでイラストが掲載されている。現在、公開中の映画『Mayu〜ココロの星〜』は乳ガンをテーマに札幌を舞台に困難に立ち向かう女性を描いたものだが、その原作となった書籍「おっぱいの歌」(著者/大原まゆ 講談社刊)の装丁イラスト、第35回大宅壮一ノンフィクション賞、第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した「こんな夜更けにバナナかよ」(著者/渡辺一史 北海道新聞社刊)の表紙のバナナのイラストも佐々木さんの手によるものだ。 目下、売れっ子の彼女ではあるが、つい最近まで、自身がイラストレーターであることを、さほど意識していなかったという。 「学生時代は日比野克彦さんだったりが注目され始めた頃で、作風やスタンスがとてもかっこ良くて憧れてはいましたが、自分はグラフィックデザインの勉強もしていないし、イラストレーターって、遠い世界の話だと思っていたんです。そういう仕事に就こうとさえ思っていませんでした」 北海道教育大学札幌分校・特設美術課で一連の絵の基礎を学ぶのだが、実は在学中、彼女は絵を描くという行為自体から、一度、遠ざかっている。白い紙に向かうことが怖かったという。描くことに悩み、そして進んだのが工芸の専門分野だった。 大学卒業後、札幌芸術の森で2年間臨時職員として働き、産休の美術教員を勤めるなどして25歳の時に結婚。正式に教職の道に進む選択肢もあったが、結局、自分には向かないと判断。どうしようか迷っている最中、たまたま立ち寄った画材屋で目に止まったのが小さなパレットだった。 何の気なしに絵の具をたらしてみると、白い画用紙の上に色彩が広がっていく。着色されるその様子を眺めながら、かつて感じたことのない楽しさに気付いたのだ。 「これだったらもしかしたら描けるかも、って思ったんですよね」 1992年、「おふたいむ」の表紙に採用されたのをきっかけに突如、イラストレーターの道が開かれたのだ。

ただの趣味、遊びではつまらない。ちょっとした小遣い稼ぎになれば、というぐらいの軽い気持ちで始めた活動から、15年が経過した。キャリアを重ねる内に、作風やタッチも少しずつ変わってきた。何よりも本人が変わったと自覚するのが、仕事に対する姿勢だという。 「元々、ヨーロッパに憧れていて、3、4年前、フランスとオランダに旅行に出かけたことがあったんです。けれど、念願かなってやって来たというのに、北海道が恋しくて仕方ない。その時気付いたんです、北海道が好きなんだって。どんなに寒かろうか、ツルツル路面でイヤな時期があろうが自分は北海道の人なんだなぁって。それから思いきって、とことん、北海道と向き合おうと思ったんです。」 「小世里と亜古のほっぺおち旅」を手掛ける前は、どちらかといえば受身の仕事が多かった。いざ、自分から発信しようとすると、いろいろなアイデアが浮き出てくる。「この仕事に巡り合って、イラストレーターとしてだけではなく、人間としても自立できたような気がします。

佐々木 小世里さん

イラストレーター。1992年「道新オントナ」カーバー10週より活動を開始ほのぼのとしたタッチで独特の世界観を描き出し、現在は新聞、雑誌、広告など幅広い分野で活躍している。 2003年からは個展を開催するなど、精力的に活動を続ける。