"rouge"は「口紅」の意であり、キュートでセクシーな女性を象徴。
"non"を付けることで、「素顔の」「本音の」という気持ちを込めました。

歌の題名は覚えていないけれど、メロディを耳にした時に「あっ、この歌、知ってる!」と思うような体験を誰もが一度や二度したことがあるだろう。
  子供の頃に聞いた「わらべうた」も、おそらくそのひとつ。不思議なもので、大人になった今日でも、幼少期に口ずさんだ旋律を感覚的に記憶している。それには訳がある、と南葉子さんは言う。
「『わらべうた』って、何十年、何百年も前から歌い継がれてきたものですが、それにはちゃんとした理由があるんです。純粋に歌として楽しいことももちろんですが、言語習得や人格形成の過程において、歌うことが自然な形で子どもに影響を与えているんです。私が『わらべうた』を音楽の教育者としてのテーマに据えたのは、そこに面白さを感じたからです」
  南さんは現在、道内を中心に音楽を通して様々な活動を行っている。その大きな軸になっているのがピアノの講師と「わらべうた」の教室である。
  南音楽教室では、毎週月曜日の午後が「わらべうた」の時間。教室内には毎回親子で集まる。
  教室といっても「指導」の雰囲気はなく、どちらかといえばレクリエーションの感覚に近い。それだけに、時間前の子どもたちは走り回ったりするなど実に気ままな過ごし方をしている。ところが、いざ南さんが「わらべうた」を口ずさみ始めると、そんな賑やかさは一変。教室内を元気に遊び回っていた子どもたちが南さんを取り囲むようにして床の上に座り込み、真剣な表情で歌の世界に入り込んで来る。耳に優しい旋律と、時にはユーモラスで、そして時には怪談のようなスリリングなストーリー性あふれる歌詞を、南さんは手作りのぬいぐるみなどを交えながら、歌い上げる。知らず知らずにうちに、子どもたちは『南・ワールド』に引き込まれているのだ。『わらべうた』は、子どもたちを惹きつけてやまない不思議な力を秘めている。
  母親はピアノの教師。幼少の頃から当たり前のようにピアノを学び始め、当たり前のように音楽の道に進み、漠然とではあるが、将来は音楽の道に進むのだろうな、と思っていた。南さんが、指導者を志す者として立ち止まった時に出合ったのが、そんな「わらべうた」だったのだ。その真相を見極めるため、大学の専攻課を終了すると、南さんはハンガリーに旅立った。

南さんが、興味を抱いたのはハンガリーの音楽教育システムだった。このシステムは、ハンガリーの作曲家・コダイによって確立した音楽教育の指導体系であり、民族の起源にさかのぼり、民族音楽を考察。それを教材に人材を育成し、芸術音楽を創り出すというものであった。世界的に注目され、ハンガリーもこのシステムを広めるべく門戸を解放。専門の研究所には教育システムを学ぶべく、世界各国から大勢の留学者が集っていた。ハンガリーの音楽教育は驚くことばかりだった。特に子どもたちへのアプローチが独特だったという。
「日本では、例えばピアノを始めた3歳ぐらいの頃からいきなり弾き始めます。でも、ピアノを弾く自体が、子どもにとってはとても難しいことなんですよ。まだ手も大きくないし、鍵盤にも指は届かない。ハンガリーではそういったテクニック的な部分よりも、まずは楽しいこと、感性を磨くようなことを指導して行くんです。そういう音楽の教材が『わらべうた』だったんです。歌の旋律が言葉の抑揚に合っていて、言語習得の部分で有効だったり、そういった裏付けも理論として確立しているんです」
  ハンガリーの研究所で2年間のカリキュラムを終了し、さらに1年、学んだ後に帰国した。
「ハンガリーに行った一番の理由は、自分がまだ音楽の指導者として『未熟』と思っていたことです。そういった意味で、ハンガリーで学んだことは自分の教育のスタイルを確立する大きなきっかけになりましたし、それが今の活動のベースにもなっています」
  帰国後、まず行ったのがハンガリーで学んだことを日本の教材に置き換えること。どんな「わらべうた」があるのかを掘り起こすところからスタートし、今では300曲、空で歌いこなせるようになった。ピアノの講師をしながら、「わらべうた」の楽しさや教材としての有効性を説き、教室を実践するという活動を地道に続けたところ、今では日本国内でも「わらべうた」が教育の視点から見つめ直されつつあるという。南さんの活動のフィールドも徐々に広がっている。
「初めの頃は、『わらべうた』といっても、システムのところまではなかなか理解してもらえませんでした。ただ、私はこのシステムは素晴らしいと思っていたし、いつかは分かってもらえるものと信じていました。今では理解者も増え、活動も変わってきました。これからが本当に楽しみです」

南 葉子さん

学生生活が終了した95年にハンガリーに渡り、ハンガリーの民族音楽と 音楽教育システムを学び、98年に帰国。  現在は、「南音楽教室」を主宰し、ハンガリーで学んだシステムに基づき 「わらべうた」を用いた音楽教室を実践している。
 
南音楽教室

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