"rouge"は「口紅」の意であり、キュートでセクシーな女性を象徴。
"non"を付けることで、「素顔の」「本音の」という気持ちを込めました。

 スタイリストとして雑誌、CMやアドバタイジング(広告)に携わる立石敦子さん。幅広いファッションシーンで活躍する彼女に話を聞いてみた。
  「子どもの時から人形遊びが好きで、お人形の服を自分でつくったのがものづくりに目覚めたきっかけだったと思います。最初はティッシュを丸めた程度のものだったんですが、だんだんと凝り出して。可愛いものをつくれた時には、何ともいえない高揚感に包まれました」。
  そこからものを創る楽しさを知り、広告の持つ世界観に惹かれ始めた。専門学生時代はグラフィックデザインを専攻し、その授業の中で運命的な出会いを果たす。
  「講義でスタイリストの授業があり、講師が当時札幌のスタイリストといえばこの人、という程ネームバリューがある人だったんです。たった一度の講義でしたが、もう授業がカッコ良くて圧倒されスタイリストという職業に就くことが私の夢になりました」。
  卒業後写真事務所に就職するが脳裏にいつもあったのは、在りし日のスタイリストの姿だった。たまらずある日、大胆行動に出る。
  「悩んでいても仕方がない! と思い、そのスタイリストさんのもとへ『雇って下さい!』と押しかけたんです。ありがたいことに受け入れて頂いて、その日から一ヶ月後その人を師匠としてアシスタントの仕事を始めることができたんです」。
  2年間アシスタント経験を積み、それから現場を任されるようになる。20代の頃はひたすら働き、仕事が一番だったと彼女は当事を振り返る。
  「服のことで頭のほとんどを占めていたように思います。キツイときもありましたが将来の具体的な『なりたい自分』というビジョンがあったから踏みとどまって続けられたんだと思います」。


 経験を重ね自分の事務所を構え、活躍の場を広げていく。
  「仕事は現場に到着してからが勝負ではなく、事前打ち合わせの段階で決まっているんですよね。また現場の空気感って仕事に如実に現れるんです。だから忙しいときもピリピリしないで楽しむことが大切。してもしなくても、いいものをつくるんだったら皆楽しい方がいいですよね。ただ服をコーディネートするだけではなく、地道な作業や人同士の関わり合い全てを含めてスタイリストという仕事だと思います」。
  仕事に対して余裕が出てきてから、考え方も変わったという。
  「何の職業を目指しても、就いていても得るものと失うものがあります。でも失ったものは初めから必要がなかったものなのだと考えるようにしています。そう言えるようになったのは、自分に余裕ができたからだと思いますし、そうなるまで何年もかかりました。いっぱいいっぱいだった昔は、例えばこうして取材で自分自身や仕事について、きちんと話すこともできませんでしたね」。

 彼女が頑張り続けられたのは、何よりも洋服が好きだからだという。
  「何故服が好きなんですか、とよく聞かれますが理由を考えたことがないくらい好き。嫌いなものこそ逆に理由が思いつきますが、好きなことにそもそも理由なんてないのじゃないでしょうか。何の疑問もなく自然に好き。だからこそ楽しく続けられるんだと思います」。
  そんな彼女が仕事でやりがいを感じる時とは。
  「洋服って、動きによって印象が違ってくるんです。だから自分が関わったテレビCMやショーで、それがきれいに表現できて格好よかったとき、いい仕事した! と思います」。
  趣味はウインドウショッピングという彼女。そこでインスピレーションが湧くこともあるという。そんな彼女の今後の目標は。
  「躍進! というより現状維持を目指してます。簡単なようでいて実は一番難しいんです。私たちの職業はセンスが大切。それは目に見えなく、それぞれ感受性が違うものです。鈍らないために見るものや聞くもの、触れるもの全て自分の中に取り入れ、感性を磨き続けることが何よりも大切です」。
  自分なりの答えが見つけられてこそ、仕事は面白くなっていくと彼女は言う。
  「私はスタイリングは擬似ショッピングだと考えていて、スタイリストはバーチャルの世界をいかに格好良く創るか、という仕事だと思います。そう気付いたのはすごく最近。以前はそういう概念などなく、とにかく格好良く見せることだけを考えていたんですね。でもメンズの仕事が増え自分が着られないからこそ、より客観的な立場で考えるように意識している内に『私の仕事は、バーチャルを格好良くキレイに見せること』と、答えが見え始めたんです。それから仕事の幅も広がり、本当の意味で楽しめるようになっていきました。どんな仕事であっても、自分なりの答えが見つかるまで続けることが大切。そして見つかってから仕事を心から楽しんで行けるのではないでしょうか」。

立石 敦子さん
ATSUKO TATEISHI
 
立石事務所/スタイリスト

 
撮影/本田写真事務所 取材/高橋絵里子
撮影協力/上居 紳太郎 (有)JADE MODELS