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今から3年前、このホテルの求人を見つけたのがきっかけ。フローリストとしてさまざまなホテルへ花を納品していくうちに、「新しい世界へ入りたい。接客業をずっと続けていきたい」という思いが強くなり、徐々にホテル業界へ魅了されていった。
入社当時は宿泊部に配属され、フロント業務などを担当。その後、女将を兼ねていた女性支配人が妊娠のため退職をすることになった。そこで新しい女将が必要となり、なんと入社2年目の高島さんに白羽の矢が立った。まさに異例の抜擢。しかし、周囲のスタッフの間では納得の人選だったという。その大きな理由の一つが、宿泊者への対応。例えば何かクレームが起こったとき、他のスタッフでは収められない場合も、高島さんが対応すると丸く収まることがあるのだという。「彼女は困ったことがあっても絶対に顔に出しません。お客様の話をじっくり聞き、その立場に立って冷静な判断をしてくれます」と、広報の清治麻美さんも信頼を置く。経験の少なさよりもその高島さんの人柄や真摯な対応が、多くのスタッフの支持へと繋がった。
そんな高島さんの接客のベースになっているのが、趣味である旅行。海外を中心にショッピングや観光地巡りなどを楽しみにしているが、この仕事を始めてからは特に現地のホテルの対応に目が行くようになった。「すごくいい場所でも宿泊先の人の対応が良くなかったら、その旅全体が嫌な印象になってしまうんですよね。だから自分たちがお迎えする時は、ホテルにいる時だけではなく、お客様の旅自体をおもてなしするつもりでいます」。それには、さまざまな宿泊者の問い合わせや要望にもできるだけ応えたい。例えば、観光雑誌などは一通り目を通し、ジャンル別にファイリングしている。自分の足で見つけた観光ガイドに載らないような場所も書き留めておく。そうすれば宿泊者から「こんなものが食べたい」「少し時間があるからどこか観光したい」など、質問があればすぐに案内することができる。「お客様に喜ばれるような提案が幅広くできれば、いい印象が残る旅行になってくれると思うので」と高島さん。さらにそれは観光面だけでなく、健康面にも。宿泊者に熱があるようであれば、客室に冷却枕を持って行き、時には最適な病院への案内もする。女将になりたての頃にはこんなこともあった。「腰痛のお客様がいらっしゃって、なかなか自分で湿布を貼れる場所ではないので、お客様に『失礼します。貼らせていただきます』とお尻が出るまで洋服を下げて貼ったこともありました」。そんな一生懸命な姿も、少しでも楽しい旅行にして欲しい、そして心に残る時間にして欲しいから。「一人ひとりに心を込めたもてなしをすることで、『またあのホテルで行きたい』と思ってもらえますし、お見送りの際にお客様に『また来ますから』と言ってもらえるほどうれしいものはないです」。
観光都市・札幌であっても、このご時世にホテル業界だって決して良いとは言えない。だからこそ、施設や立地などハードの部分だけに頼ることなく、もてなしというソフトの部分にこそ力を注いでいかなければならない。高島さんのような柔軟性のあるもてなしこそが、長く愛用してくれるファンを繋ぎ、その人達を大切にできるのだろう。
彼女の胸に光るネームプレートには、「親切・笑顔」の文字がある。シンプルだけれど、もてなしの原点であるその言葉を胸に刻み、高島さんは女将への道を一歩ずつ進んでいく。
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ジャスマックプラザホテル 女将 高島 千景さん 士別市出身。高校卒業後、市内ホテルや生花店などでフローリストとして18年のキャリアを持つ。旅行会社の営業職などの経験を得た後、2007年に現在のジャスマックプラザホテルに入社。2010年より同ホテルの女将としてフロントに立つ。 http://www.jasmacplaza.jp |
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